きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

2024-01-01から1年間の記事一覧

『土佐の一本釣り』(1980・松竹、キティ・フィルム)

併映の『寅次郎かもめ歌』のマドンナが伊藤蘭。こちらのヒロインがスーちゃん。キャンディーズ二本立だった。ツッパリ見習い漁師としっかり者の女子高生の初恋に、前田監督は父親的視線を注ぐ。東映からあの方々も登場。途端に画面に緊張が走る。 (ラピュタ…

『おひとりさま 三十路OLの性』(2008・ネクストワン)

村上春樹の小説『アフターダーク』に触発され監督自身が脚本を書いた本作は、暗い退廃と残酷な暴力の匂いが漂っている。既に監督デビューしていた黒川幸則やカジノが演出部として協力している事や、日活の若手編集部の参加にも注目。 (ラピュタ阿佐ヶ谷ホー…

『進め!ジャガーズ 敵前上陸』(1968・松竹)

ビートルズ『HELP!』をベースにしたナンセンス喜劇。中原弓彦(小林信彦)が脚本協力。007、『第三の男』、レオーネ、ゴダールと映画パロディ満載。後半、突如日本兵の生き残りが登場。途端、戦争映画と化すのに唖然。終幕までお遊び精神横溢。 (ラピュタ阿…

『巨乳熟女 本番仕込み』(1993・獅子プロダクション)

(改題:菊池エリ 熟女の時間で…イッて!) ビデオの「シスターL」で人気を得た元祖アイドルAV女優菊池エリ。バブル時代の女性を象徴するようなボディコン姿が眩しい。当時、批評家として頭角を表し始めていた切通理作が脚本。エクセスでは数少ない、伊藤猛の…

『逆境を乗り越えた大女優 高峰秀子の美学』

東京タワーで開催された、高峰秀子さんの展示にいってきました。 基本展示内容は撮影不可ということでちょっと残念。 https://www.takamine-hideko.jp/exhi www.takamine-hideko.jp 高峰さんの著作を読んだ人はわかっていると思うのですが、高峰さんは幼少期…

『ファンキーハットの快男児 2千万円の腕』(1961・東映)

ご存じ天下探偵事務所の一郎と相棒の茂も大の野球ファン。特に茂は最近、後輩に当たる若葉高校の川原投手の自慢ばかり。プロのスカウトに二千万円の値をつけられた川原の話に流石に辟易した一郎は、気分転換にコンサートに。その会場で美人のスポーツ記者・…

『ファンキーハットの快男児』(1961・東映)

ニュー東映のホープ・千葉真一の主演作!官庁ビル建設に絡まる贈賄汚職が幼児誘拐事件を呼び、若い探偵が謎を追って活躍する!深作欣二監督によるスリルとサスペンス漲りユーモアを織り交ぜた青春痛快アクションドラマ! (Prime Videoより引用) 監督:深作…

『惜春鳥』(1959・松竹大船)

若者達の友情や挫折を描いた名作の多い山田シナリオを思わせる、木下脚本の青春群像劇。顔を揃えた気鋭の若手俳優達も素晴らしい。 (神保町シアターホームページより引用) 監督:木下恵介 出演:津川雅彦/川津祐介/小坂一也/山本豊三/石浜朗/有馬稲子/佐田…

『藍より青く』(1973・松竹大船)

昭和19年の天草で、校長の娘と徴兵間近の漁師が愛を貫く。山田が手掛けたNHK連続テレビ小説を原作に、森﨑流で描く戦時下の純愛。 (神保町シアターホームページより引用) 監督:森﨑東 出演:松坂慶子/大和田伸也/佐野浅夫/赤木春恵/尾藤イサオ/三國連太郎…

『歌え若人達』(1963・松竹大船)

学生寮で暮らす青年達のままならない日常――。山田が自身の経験をもとに描き上げた苦々しい青春ドラマを、師匠の木下が軽やかな喜劇調で映画化。 (神保町シアターホームページより引用) 監督:木下恵介 出演:松川勉/三上真一郎/津川雅彦/山本圭/川津祐介/倍…

『キネマの天地』(1986・松竹)

昭和初期の蒲田撮影所を舞台に、映画館の売り子からスター女優への階段を駆け上がる娘とその父との絆、そして活動屋たちの情熱を描いた感動巨篇。 (神保町シアターホームページより引用) 監督:山田洋次 出演:中井貴一/有森也実/渥美清/倍賞千恵子/すまけ…

『肉屋と義母 うばう!』(2005・ネクストワン)

80年代にロマンポルノで活躍した三東ルシア。一時期芸能界を引退していたが、2003年緊縛写真集を出版し復帰。本作は、復帰後唯一の映画出演作。大学講師役の三東ルシアが逞しい肉屋の男に惹かれていく様が官能的に描かれる。 (ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページ…

『義母の長襦袢 淫らな匂い』(1996・プロダクション鷹)

ノーパン喫茶で一世を風靡し、1984年ロマンポルノ『イヴちゃんの花びら』でスクリーンデビューしたイヴ(神代弓子)は、エクセスでも15本の最多主演数を誇る。本作では、珠瑠美監督とのコンビで、若きイヴの姿が堪能できる。 (ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページ…

『自殺を売った男』(1958・松竹)

宝石店の社長秘書と情婦は、ヤク中で自殺常習犯のチンピラ・田村高廣と売り上げを横領した部下・片山明彦を使って死体入れ替えのトリックを思いつくが…。「自殺を売ってくれないか」で始まる宝石横領完全犯罪の顛末。気の弱い二人の男が事件の鍵を握る。大下…

『濹東綺譚』(1960・東京映画)

東京の向島にある私娼窟・玉の井を舞台に、一途な娼婦(山本)と妻子ある中年男との儚い恋を描いた文芸作品。今も根強い人気を誇る荷風の代表作の映画化。艶やかな魅力の山本が演じた素朴で愛らしいヒロインは、見る者を虜にする。 (神保町シアターホームペー…

『背くらべ』( 1962・松竹)

女手ひとつで二人の息子を育てる乙羽信子。兄の川津は弟をどうしても東京の大学に行かせたいが…。工場経営者の叔父に呼ばれて上京した川津は、ストライキで叔父と対決する労働者達を見る。教育格差、地方と都会、母子家庭と貧困、労働者と資本家の問題は今こ…

『永遠の人』(1961・松竹)

一人の女の数十年にわたる愛憎を描いた大河メロドラマ。夫・仲代への恨みを決して忘れない高峰秀子の鬼気迫る演技に圧倒される傑作。フラメンコの弾き語りという意表を突く木下忠司の音楽とともに、木下恵介特有の過剰なエモーションが阿蘇の大地に響きわた…

『風の中の瞳』(1959・松竹)

赴任早々から遅刻した中学教師の田村高廣と3年生達の1年間。進学高狙いの子も、修学旅行の費用がない子もいる中、事故が起こり…。学級会でハキハキ手を挙げ、「一生、友達だ」と誓い、山に行けば「ヤッホー」と叫ぶ生徒たちの良い子ぶりに少々ビビるが、心…

『十七才の逆襲 暴力をぶっ潰せ』( 1960・第二東映東京)

死刑囚の息子で孤児院育ちの「ジェットのサブ」は十三年前に仕組まれた恐るべき暗黒街の罠を発見。単身悪に立ち向かう──。主人公と同じ十七歳の松方弘樹が主演デビュー。新鮮な魅力をスクリーンいっぱいに叩きつけた。 (ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引…

『裸の太陽』(1958・東映東京)

ある田舎町の機関区。カマ焚きの青年・江原真二郎と女工・丘さとみというカップルを中心に働く若人たちの力強い息吹を描いた真夏の二日間の物語。家城巳代治監督のきめ細やかな生活描写が光る、青春映画の名篇。 (ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用) …

『春らんまん』(1968・東宝)

水木洋子脚本×吉村公三郎監督の大映作品『婚期』のテレビドラマ版を、東宝の豪華女優陣で再リメイク。千葉としては『沈丁花』の流れを汲む結婚をめぐるホーム・コメディである。家業を継いだ兄とその嫁、小姑三姉妹の結婚や恋愛が陽気で賑やかに描かれる。 …

『渡る世間は鬼ばかり ボロ家の春秋』(1958・松竹)

ひょんなことから多々良純の家に下宿することになったヴァイオリニストの佐田啓二。ところが多々良が姿を消し、彼から家を買ったと主張する者たちが次々乗り込んできて…。佐田の恋人・有馬稲子が下宿代をトイチで貸したりキスの代金を要求したりとドケチぶり…

『みれん』(1953・東京映画)

瀬戸内晴美(寂聴)の短篇連作集『夏の終り』を映画化した文芸作品。映画に先立ち、同年、TBSでドラマ化されている。妻子ある小説家の小杉は愛人の知子と不倫関係を八年も続けている。ある日、知子の前に昔の恋人が現れ、小杉との関係は亀裂を生じはじめる………

『痛快なる花婿』(1960・松竹)

紡績会社の営業の石浜と隣家の大泉滉は、新製品販売に失敗し上司に叱責される。ところが石浜を情けなく思う妻・小山が新製品の大量契約に成功し…。上司たちの不正とパワハラに我慢できず殴ったあげく辞職した石浜。小山は勇気を取り戻した夫を見直し、同僚た…

『美しき抵抗』(1960・日活)

大学医学部助教授の松波亮輔は家庭の事には疎い男。金銭的にも無頓着で、妻ゆき子の苦労は並大抵のものではない。そんな一見平和な家庭に育った三人姉妹-長女で工場の栄養士・智恵子、タイピストの次女・都紀子、高校生の三女・久美子は、夫に従順すぎる母の…

『若い豹のむれ』(1959・日活)

日刊スポーツ連載小説、秋永芳郎原作映画化、マイト・ガイ、アキラの魅力を爆発させる青春アクション巨篇。 (Prime Videoより引用) 監督:松尾昭典 出演:小林旭/沢本忠雄/待田京介/青山恭二 若い豹のむれ 小林旭 Amazon 小林旭は大学生、ボクサーチャンピ…

『復讐の牙』(1965・大映)

かつてスリ集団のボスだった田宮二郎は、弟によって自分が死んだことにされているのを知り…。自分の墓に花を添える謎の女、怪しいヨットハーバー、そして組織を陰で操る“土曜日の男”とは!? 田宮のスリ技の見事さと小山明子の美しさが際立つ、大映らしいシャ…

『ホノルル・東京・香港 HONOLULU-TOKYO-HONGKONG』(1963・東宝、キャセイ・オーガニゼーション)

“香港三部作”の第三作。前二作がビター・スウィートなメロドラマだったのに対して、本作ではハワイや香港にロケをした、コメディ・タッチの華やかなドラマになった。場面ごとに衣装を変える尤敏のファッションや草笛光子のフラダンスがグッド。脚本は松山善…

『彼女だけが知っている』(1960・松竹)

連続強姦事件の毒牙にかかった娘は…。ヒロインの苦悩と葛藤に事件の行方を絡めて描いたサスペンス。松竹ヌーヴェルヴァーグの牽引者の一人である高橋治監督のデビュー作で、中村八大によるMJQスタイルの音楽、傾いた構図、影を強調した画面構成など斬新な…

『二人の息子』(1961・東宝)

一流企業に勤めて妻子を養う兄と、タクシー運転手で気ままに生きる弟は、仲のよい兄弟だったが、父親の突然の失職を機に対立する。高度経済成長の陰で、押しつぶされそうになる家族の絆を凝視したビターなホームドラマの傑作。脚本は松山善三のオリジナル。 …