きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

宝田明

『春らんまん』(1968・東宝)

水木洋子脚本×吉村公三郎監督の大映作品『婚期』のテレビドラマ版を、東宝の豪華女優陣で再リメイク。千葉としては『沈丁花』の流れを汲む結婚をめぐるホーム・コメディである。家業を継いだ兄とその嫁、小姑三姉妹の結婚や恋愛が陽気で賑やかに描かれる。 …

『ホノルル・東京・香港 HONOLULU-TOKYO-HONGKONG』(1963・東宝、キャセイ・オーガニゼーション)

“香港三部作”の第三作。前二作がビター・スウィートなメロドラマだったのに対して、本作ではハワイや香港にロケをした、コメディ・タッチの華やかなドラマになった。場面ごとに衣装を変える尤敏のファッションや草笛光子のフラダンスがグッド。脚本は松山善…

『二人の息子』(1961・東宝)

一流企業に勤めて妻子を養う兄と、タクシー運転手で気ままに生きる弟は、仲のよい兄弟だったが、父親の突然の失職を機に対立する。高度経済成長の陰で、押しつぶされそうになる家族の絆を凝視したビターなホームドラマの傑作。脚本は松山善三のオリジナル。 …

『水戸黄門漫遊記』(1969・東宝)

幾度となく映画化されておなじみの水戸黄門の諸国行脚を森繁久彌はじめ喜劇人総出演で描く。撮影中、千葉は心臓発作を起こし、健康不安を抱えることになったため、本作が最後の映画作品となった。以後の千葉は東宝製作のテレビに活動の軸足を置くことになる…

『沈丁花』(1966・東宝)

松山善三の原作をもとに、歯医者の家に生まれた四姉妹の結婚をめぐる騒動をオールスタア・キャストで描いた、多幸感溢れるホームドラマ。四姉妹が並んで歩く冒頭から心を鷲掴みにされる憎い作劇。センス抜群のセリフの掛け合い。高峰秀子監修の衣装も眼福な…

『香港の星 STAR of HONG KONG』(1962・東宝、キャセイ・オーガニゼーション)

“香港三部作”の第二作。前作とストーリー上につながりはなく、独立したメロドラマ。商社マンの日本人男性と中国人医学生のすれ違いのラブロマンスを、香港・日本・シンガポール・マレーシアをまたいで描く。脚本家は前作の井手俊郎から笠原良三に交代。 (ラ…

『銀座の恋人たち』(1961・東宝)

井手俊郎のオリジナルの映画化。銀座を舞台にして、隣り合う二つの店の家族とその周辺という、狭い人間関係が複雑にもつれ合い、色恋沙汰を繰り広げる物語をオールスタア・キャストでさわやかに描く。人物の交通整理に迷いがない千葉演出の凄さを堪能せよ。 …

『香港の夜 A NIGHT IN HONGKONG』(1961・東宝、キャセイ・オーガニゼーション)

東宝が香港の製作会社キャセイと組んで合作した“香港三部作”の第一作。二枚目・宝田明の相手役に、“香港の真珠”と呼ばれた尤敏(ユーミン)を配して、英語・日本語・中国語が入り混じる、国境を越えた甘口のロマンスが展開する。恋仇になる司葉子の美しさも…

『若い恋人たち』(1959・東宝)

光学メーカーの技師である修一は、伯父が持ってきた令嬢との縁談を断り、家を出て銀座のバーで勤める和代と同棲を始める。周囲は二人の仲を裂こうとし、修一の妹も二人を偵察することになるが、彼女にも意中の人ができて……。笠原良三のオリジナルの映画化。 …

『嵐を呼ぶ楽団』(1960・宝塚映画)

本格的なビッグバンド結成を目指すピアニスト(宝田)が仲間たちとの友情や恋愛を経てエンターテイナーとして成長していく姿を描く。井上によるジャズ映画の集大成的な作品であり、テンポの良い演出が光る。本作はフリーランスとなってからの監督作で、『夜…