きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『藍より青く』(1973・松竹大船)

昭和19年の天草で、校長の娘と徴兵間近の漁師が愛を貫く。山田が手掛けたNHK連続テレビ小説を原作に、森﨑流で描く戦時下の純愛。

神保町シアターホームページより引用)

 

監督:森﨑東

出演:松坂慶子/大和田伸也/佐野浅夫/赤木春恵/尾藤イサオ/三國連太郎

困った。最高だった。

冒頭から謎の男たちの寒中水泳対決! なぜ? と思ったら、松坂慶子のため!?

漁師の頭領の息子大和田は松坂を愛していた。相思相愛である。しかし大和田は半年後戦地へ。結婚を躊躇するも、松阪の真剣な想いにふたりは結婚を決める。

しかし問題は松阪の父、三國である。どうしたってうんといわない。松阪の家出の果て、二人の結婚を認めることになるが、しかし大和田は再び、「結婚していいのか」の悩む。

大嵐の日、海へ一人出てしまう大和田。無事なのか? 夜明けに松坂は、大和田の船の音が聞こえる、と走るが。

 

もともとが朝ドラということで、全員憎めない。天草の漁師たちの友情、大和田の朴訥とした魅力、そして松坂慶子!!

若者たちの兄貴分の田中邦衛が最高である。それ以上に三國が!

妻を早くになくした三国は、松坂が未亡人になってしまうのがしのびないのだ。そして戦地に若者を送り出すときの言葉と想いの矛盾に引き裂かれている。

松坂が家出したとき、怒鳴り込みにいく三國、最高。そもそも完全な人間でない感じ、飲んでだらしなく横になったり、山田太一の作ったキャラクターたちは、みんな、弱くて、悲しくて、身近だ。

 

こうなってくると朝ドラも観たい。あらすじを見ると、え、未亡人になっちゃうの!?