きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『惜春鳥』(1959・松竹大船)

若者達の友情や挫折を描いた名作の多い山田シナリオを思わせる、木下脚本の青春群像劇。顔を揃えた気鋭の若手俳優達も素晴らしい。

神保町シアターホームページより引用)

 

監督:木下恵介

出演:津川雅彦/川津祐介/小坂一也/山本豊三/石浜朗/有馬稲子/佐田啓二

控えめにいって、最高だった!

車内から始まる。川津と佐田は田舎に帰るところ。東京で川津は女がらみで問題を起こし、佐田もまた芸者との駆け落ちが失敗した。

川津が帰ってくると、仲間たちが集まってくる。五人はそれぞれの暮らしや悩みがある。

あるとき川津がそれぞれに金を貸して欲しいと持ち出すが……。五人の青春グラフティ(一部ではBL的、ということらしい。まあこいつら、なんでか風呂場でもくっつきあってるしなあ)と、佐田と芸者・有馬の物語が交差する。

川津は実は東京で詐欺に手を染めていた。一番慕っていた足が不自由な山本が、警察に捕まる前に自首してもらいたくて、街を足を引き摺る姿に泣く。

貧乏士族家系の石浜に婿養子の話、津川の決心、川津が自分の大切な腕時計を盗んだことに気づき涙する小坂。それぞれが最高なのだ。

白虎隊の剣舞をかつてした頃より大人になった五人。ほんとうの大人になる季節を迎えようとしている。

ああ、ほんとうに、最高だった。

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