きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『背くらべ』( 1962・松竹)

女手ひとつで二人の息子を育てる乙羽信子。兄の川津は弟をどうしても東京の大学に行かせたいが…。工場経営者の叔父に呼ばれて上京した川津は、ストライキで叔父と対決する労働者達を見る。教育格差、地方と都会、母子家庭と貧困、労働者と資本家の問題は今こそリアル。木下恵介企画、山田太一脚本による秀作。いたたまれず帰ってきた川津と常田富士男の友情に泣く。

シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)

 

監督:大槻義一

出演:川津祐介/島かおり/石川竜二/田中晋二/乙羽信子/常田富士男/山崎猛

そういや2024年2月のシネマヴェーラ渋谷は、『日本の映画音楽家伊福部昭・木下忠司』でありました。

にしても、山田太一である。セリフの一つ一つが最高だったのだ。ほんとは弟でなく、自分が東京にいきたいお兄ちゃんが、親戚の会社に勤めることになるも、ストの真っ最中。

労働者たちと立ち向かうことになり、逃げ出してしまう。

あるとき敵対した一人が家に訊ねてくる。そのときの「きみはいい人だと思う」という言葉に、しびれる。

山田太一はすごい。

 

にしても、これは「俺のかあちゃん最高」映画なのだが、兄弟愛も最高にせつなく描かれている。

冒頭、隠れて弟がバイトをしているのを見つけ、街を兄弟が自転車でダッシュするシーン。

映画のロケ(戦国時代! の合戦)でエキストラのアルバイトをしているシーンも楽しい。

 

母ちゃん最高で、兄ちゃん最高映画なのだ。