昭和初期の蒲田撮影所を舞台に、映画館の売り子からスター女優への階段を駆け上がる娘とその父との絆、そして活動屋たちの情熱を描いた感動巨篇。
(神保町シアターホームページより引用)
監督:山田洋次
出演:中井貴一/有森也実/渥美清/倍賞千恵子/すまけい/美保純/笠智衆
神保町シアターの企画『映画で辿る 木下恵介と山田太一』である。
にしても、そもそも脚本に井上ひさし! 山田太一! 朝間義隆! 監督の山田太一も入っている!
松竹の記念映画なだけあって豪華〜(というか渥美・有森の隣人が倍賞・前田吟て、『寅さん』じゃん。というかセルフパロディー、さすが山田洋次)。
そういや続編(?)を井上ひさしが戯曲書いてました。我が家には『井上ひさし全芝居』(全集ね)があるんだが、未読。
さて、映画館で働く有森は見そめられ、松竹の大部屋俳優に。助監督で繊細、というかナイーブな中井貴一となんとなくいい感じに。
しかしすれ違い、中井が捕まってしまう(逃げている大学の先輩の巻き添えに)などなどさまざまな事件、そして有森の出生の秘密、などなどとにかく盛りだくさん。
ラスト、有森の初主演映画を観ながら渥美は……そしてそんなことも知らずに有森は松竹のイベントで歌うのであった。
いや、まじで舐めてました。泣いちゃった。山田洋次に泣かされるのって、なにかひっかかるというか、俺も情緒に流されちゃうな〜とか思っちゃうとこもあるわけですが、そんなことおかまいなしに、名作でした。
映画の現場の男たちの熱さも最高。
しょうもない映画を作っていることに対する屈折を中井も俳優たちも感じている、しかし、観客は少ない賃金の中で娯楽を求めに映画を観にやってくる。
お客さんたちの想い。
く〜っ。
でも一番面白かったのは、小津安二郎みたいな役(笑)の岸辺一徳。我々の想像する小津的現場でした。