きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『彼女だけが知っている』(1960・松竹)

連続強姦事件の毒牙にかかった娘は…。ヒロインの苦悩と葛藤に事件の行方を絡めて描いたサスペンス。松竹ヌーヴェルヴァーグの牽引者の一人である高橋治監督のデビュー作で、中村八大によるMJQスタイルの音楽、傾いた構図、影を強調した画面構成など斬新な手法が冴える。

シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)

 

監督:高橋治

出演:小山明子/渡辺文雄/笠智衆/三井弘次/水戸光子

シネマヴェーラ渋谷で一月にやっていたのは小山明子さんの特集。

面白かった。

一時間とちょっとのなかでぎゅっと凝縮されている。

連続強姦殺人事件が起きている東京。捜査によって、小山の父・笠智衆、そして彼氏・渡辺は休むことはできなかった。

クリスマスイブの夜、小山が被害に。殺されることは免れたが、そのことを知られたくない。

娘が被害者になってしまった笠智衆は、娘と妻の気持ちを思いながらも刑事として、娘に証言させようとするが。

友人の家へ逃れる小山、あくまで娘のことを隠して捜査する笠智衆。事実を知った渡辺は。

小山が警察署に向かったとき、新たな事件が。

渡辺と別れようとする小山、犯人逮捕後に、辞職しようとする父。

すべてを終え、警察署から去っていく小山の背中を窓から眺めることしかできない渡辺は、走り出す。

深い傷と悲しみを超えた二人に幸あれ。