きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『自殺を売った男』(1958・松竹)

宝石店の社長秘書と情婦は、ヤク中で自殺常習犯のチンピラ・田村高廣と売り上げを横領した部下・片山明彦を使って死体入れ替えのトリックを思いつくが…。「自殺を売ってくれないか」で始まる宝石横領完全犯罪の顛末。気の弱い二人の男が事件の鍵を握る。大下宇陀児原作、高橋治脚本のクライム・サスペンス。

シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)

 

監督:堀内真直

出演:田村高廣/高千穂ひづる/高野真二/泉京子/片山明彦/渡辺文雄/有沢正子/諸角啓二郎/十朱久雄/永井達郎/須賀不二男

とにかくクール、なのにとぼけている。なんか悪いやつの悪さがなぜかクスリと笑ってしまう。

そもそも主人公がヤク中である。なんじゃそらって話である。

そして金をやるから一年死んだことにしておいてくれ、と持ちかけられる(ちなみにオープニングが呼び止められて『自殺を売ってくれませんか?」「えっ」って感じかっこいい)。

金がない、付き合った女に店を持たせてやりたいと、承諾してしまうんだが、そもそもが宝石店で働いていた二人が、「部下を脅して宝石を盗ませ、そいつを殺す。しかし実はべつのやつが死んだことにして、警察にはまだ部下が生きていて逃げていると思わせる」というなんだか非常にめんどくさい(笑)事件なのである。

裏切りあり、愛あり、とくに後半のピンチの数々は手に汗握る。

しかしラストはやはりヤク中、身体から薬を抜くために縛られてる(笑)。

 

内容はハードなのに、なぜか愛おしい。