きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『美しき抵抗』(1960・日活)

大学医学部助教授の松波亮輔は家庭の事には疎い男。金銭的にも無頓着で、妻ゆき子の苦労は並大抵のものではない。そんな一見平和な家庭に育った三人姉妹-長女で工場の栄養士・智恵子、タイピストの次女・都紀子、高校生の三女・久美子は、夫に従順すぎる母の態度に不満を抱く。

(Prime Videoより引用)

美しき抵抗

美しき抵抗

  • 沢本忠雄
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監督:森永健次郎

出演:沢本忠雄/吉永小百合/浜田光曠/香月美奈子

 

研究一筋のお父さん、いつか大学教授に、とお母さんはミシンの音を鳴らし続ける。製薬会社に誘われても、お父さんは家族に相談せず断り、そして三女の演劇合宿に行くのも反対。

長女のほうは、結婚話のある相手を、なにか気に入らない。そう、どこか父と同じものに感じるからだ。

封建的で、研究ばかり、家庭や妻を顧みない、そんな男。

次女だって、たまの出かけで酔って帰ってきたところをぶたれ、不満を爆発させてしまう。

父は反省し、大学を辞めて高給とりになろうとするのだが、喜ぶと思った妻は、「一度きりの人生なのだから」と研究を続けるべきだと話す。

それを布団のなかで聞いた姉妹は涙を流すのだった。

我慢をしているお母さんの矜持に胸を打つ。

そして吉永小百合のボーイフレンド浜田や、隣に住む沢本が、さわやかでとてもよい。

綺麗事だといわれても、誰かのことを大事に尊重できるのが、一番美しい、この世の中への「抵抗」なのだ。