邦画と銭湯

映画を観て風呂に入るブログ

『嵐を呼ぶ楽団』(1960・宝塚映画)

本格的なビッグバンド結成を目指すピアニスト(宝田)が仲間たちとの友情や恋愛を経てエンターテイナーとして成長していく姿を描く。井上によるジャズ映画の集大成的な作品であり、テンポの良い演出が光る。本作はフリーランスとなってからの監督作で、『夜霧の決闘』(1959)に引き続き宝塚映画による製作。

(国立映画アーカイブホームページより引用)

 

監督:井上梅次

出演:宝田明/雪村いづみ/朝丘雪路/髙島忠夫/水原弘/江原達怡/環三千世/柳沢真一/神戸一郎/水戸光子

 

写真はラピュタ阿佐ヶ谷にて。

 

『嵐を呼ぶ楽団』がまた観れる、そう聞いたら行くしかない。昨年開催された国立映画アーカイブ「月丘夢路 井上梅次100年祭」である。この作品、やっぱり去年のラピュタ阿佐ヶ谷で観て以来、宝田明のファンになってしまったのだ。井上監督の「嵐を呼ぶ」シリーズ(っていいっていいのか?)である。ちなみに日活三悪といういつのまにか消えてしまったユニットの『嵐を呼ぶ友情』も大好きです!

というわけで2023年二回観てしまった。

 

にしても宝田明、いい男である。才能あるピアニスト宝田は、バンドを結成し、亡くなった父のバンドよりもすごいことになってやる! と思っている。才能ある仲間が続々集まり、さあ、頂点へ、東京へ、というときに、そもそもの宝田の性格と恋愛問題でバンドは……。

なんだかこの作品には、人生のすべてがあるような気がしてならない。成功と挫折、青春、恋愛、そして情熱を傾けるもの。

最後、再び集うメンバーたち。やはり音楽で繋がったみんなは、音楽でわかりあう。とてもいい。

こんな友情、こんな仲間、もしかして、人は、こういうものがなくて、憧れて、こういう映画を観るのだろうか。

あるいは、こんな熱い友情が、たしかにあったと思うのか。そう考えたら、あったような気がする。

自分にないようで、かたちは違えど「ある」もの。それを確認するために、人は映画を観る。