きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『虹を抱く処女』(1948・新東宝)

結核ブルジョア作曲家が訪問看護婦と恋に落ちる。白衣の天使そのもののように美しいが、そこはデコちゃん。「彼への気持ちは自分に酔っているだけでは?重病人との結婚は無理では?」という自分ツッコミも忘れない。実際に結核を患っていた早坂文雄(本作の音楽を担当)をモデルにしており、キラキラと美しい二人を堪能するメロドラマ。

シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)

 

監督:佐伯清

出演:高峰秀子/上原謙/若原雅夫/田中春男/寺島新/宇野重吉/三村秀子/水原久美子/落合富子/香山みち子/一の宮あつ子

 

病気の上原謙とのささやかで美しい日々。しかし彼との結婚は? そんなときに戦地で手厚く看病してくれたと男がやってきて結婚を申し込まれる。

さあどうすんだ、高峰秀子

全身芸術家(!)である上原も曲を作るべく悩み抜いており、二人の苦悩が画面にみなぎる。

つくづく高峰秀子って、「複雑すぎる感情」を表現するのがうまい。

上原の家へ向かう姿がなんともいえない、いい風情である。

森のなかにあるからかな、なんだか上原の家への往来は、まるで異界に向かい、去るみたいだ。

幸福は、自分で選んだ未来にあるもんだ。