きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『暁の非常線』(1957・新東宝)

天知茂と部下が犯人の連続銀行強盗。それを追う刑事・舟橋と記者・沼田。そこにヤクザ一家の跡目争いが絡む。サングラスに細身のスーツ姿の若き天知の冷酷な笑いにゾクゾクするが、そんなモダンな天知の正体が老舗ヤクザの代貸・馬島政吉(まじませいきち)だったとは!? 追い詰められた天知が仲間を全員殺し、一人逃走する終盤は最高。

シネマヴェーラ渋谷より引用)

監督:小森白

出演:天知茂/和田孝/沼田曜一/三ツ矢歌子/小倉繁/横山運平/舟橋元/大原讓二/廣瀨恒美/大江満彦/保坂光代/野々村律子/千葉徹/倉橋宏明/吉田欣裕/廣瀨康治/淺見比呂志

『花と波濤』にちょろっと学生服姿の天知茂が出てくるんだが、やっぱ違いますよね。三人のうちの一人なんですけど顔の作り方が! なんか完璧なプラモデルっていうか。例えが変ですが。そしてこちらは悪党の天知茂。ヤクザの総長になろうと親分の娘と結婚しようとするわ、犯罪を犯しながら無慈悲にバンバンやってくれる。

でもなんとなくだが間が抜けている。前半は繰り返される犯罪、そして後半は逃走。天知茂がグラサンで冷笑するのもいい。最後の捕まったときの表情も! ほぼかっこいい漫画である。

天知を追い詰める面々のエピソード、忘れちゃうくらいに天知茂全開である。

いちおうヤクザの親分の息子が刑事の妹と付き合ってて、天知が狙っていた親分の娘もまた、刑事が恋人だったりする。これってけっこうすごいことな気がするんだが。

気前よく(?)ばんばん殺していくうち、結局こいつ(天知)なんなんだろ(いちおうセリフでちょろっと過去を言及してるけど)、というのも吹き飛びます。