安部公房と初めて組んだ勅使河原宏初長編。炭鉱、貧困、瓜二つの男、白いスーツの殺し屋、見捨てられた集落にひとり残る女、それらを眺めている幽霊。粟津潔によるカッコいいタイトルと前衛的でシュールな映像に加え、武満徹、高橋悠治、一柳慧によるプリペアドピアノとチェンバロの不協和音と音色が不穏な空気を醸し出し、映画全体がまるで悪夢のような様相を見せる亡霊の映画。
(シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)
監督:勅使河原宏
出演:井川比佐志/宮原カズオ/大宮貫一/田中邦衛/矢野宣/佐々木すみ江/松尾茂/観世栄夫/佐藤慶/金内喜久夫/松本平九郎/奈良あけみ/袋正/島田屯
どんな話なのかな〜とまったく前情報もなく観たのですが、これがもう最高でした。
炭鉱夫の男が仕事があると向かった先で、刺されて殺される。それを女は見ていたが口止めされ、こう話せ、と刺した男が言う。
この謎の男、田中邦衛が最高なのだ。いや、刺された井川さんもかわいい(若い)。
さて、話はなんで刺されたのか? で展開されるんだけど、刺された男の霊(!)が登場。不条理な状況の真実を知ろうとする(ほかの霊が「よしとけ」というのに)。
どうもそっくりの組合の男がいるらしい。新聞記者(佐藤慶!)が事件を追い、そっくりの男もまた、敵対する組合の男を呼び犯行現場へ。
そのとき、再びの田中邦衛が、見ていた女をぶっ殺し、敵対する組合の男は組合の男が殺したと誤解して!
霊は生きているものには見えない。
炭鉱夫の男の子供は見ていた。が、語ることは、ない。
不条理で陰惨なのに笑える。最高。