邦画と銭湯

映画を観て風呂に入るブログ

山口果林『安倍公房とわたし』

 

純粋に映画本かといったら、演劇本、なのかもしれないのですが、『仔象は死んだ』が面白く、そのあとのトーク安部公房が演劇をしなくなったのは、ということの要因のひとつに山口果林さんとの関係があるとかないとか、ということで、以前から気になっていた本を読んでみた。

いや〜面白い。『箱男』に山口さんへのメッセージが、とか。あんたら密会してたから、『密会』なのかーい! などなどそういうゲスなとこから、一人の女性が演劇を志し、そして作家にのめりこみ、夫人にバレ、などなど。

安倍ねりさん(安倍公房の娘さん)の書いた安部公房伝とはまた違った趣がある。なんかコミカルっていうか。安部公房がぐっと近くに感じられる名著であり、女性の仕事と愛の話だった。

にしても安倍スタジオ、すごかったな。初期は仲代達矢田中邦衛に井川比佐志の主役レベルがずらり、で、山口さんが朝ドラ女優ですからね。

 

山口果林さんが、後期安部公房のミューズであったのは間違いない。