きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『美しさと哀しみと』(1965・松竹)

大木は、かつて妻子ある身で少女音子を身ごもらせた過去を持つ。音子は死産し、自殺未遂するがその音子をモデルに書いた小説は彼の出世作となった。それから20年――大木は、画家として大成した音子を京都に訪ねたが、そこで出逢った音子の弟子けい子の妖しい魅力に惹かれる。音子を敬慕するけい子は、大木との哀しい恋の話を聞き、大木への復讐を誓った。江ノ島のホテルでけい子は大木に抱かれるが、左の乳房を押さえ、「右だけにして」と叫んだ・・・。

(Prime Videoより引用)

 

監督:篠田正浩

出演:加賀まりこ/八千草薫/山本圭

 

実は川端康成で一番好きな作品だったり。

男は京都で年越しをする。かつて愛した、そしてひどい別れをした女(女は男の子供を堕ろし、そして発狂したことがある)と会う。

女を慕う少女が同席する。

それから少女が男を訪ねてやってくることになる。

少女は男を誘惑し、そして男の息子も。そして事件が起こる。

 

淡々と、現在と過去の狂気が描かれている。侘しい嵯峨(いまとは大違いだ!)や鎌倉の風景、そしてまるで舞台のような過去の風景の対比。

身勝手な想いが交差して起こる悲劇。

 

つい最近読んだ川端康成についての対談で、川端の書く恋愛のシチュエーションは「源氏物語」的、とあった。

たしかにそうかも。なんというか、男の身勝手さと本質を抉っているような気がする。

多分また、みかえしちゃうんだろうな。

そう、僕は川端康成が他人事とは思えないのであった。