きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『OL日記 濡れた札束』(1974・日活)

ハイミスの銀行員がふとしたきっかけから性の歓びを知った時、彼女の生活は一変。罪の世界に溺れていく──。前年秋に発覚した滋賀銀行巨額横領事件がモデル。中年女性の哀切極まる孤独感を表出させた中島葵、一世一代の名演技。

ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用)

監督:加藤彰
出演:中島葵/絵沢萠子/堂下かずき/浜口竜哉/賀川修嗣/高橋明/叶今日子/堺美紀子

ふらりと女は現れて、アパートを借りる。

男のいない家庭で育った女。戦後の混乱の中、必死で銀行員として生きてきた。男の身勝手な行為に傷ついていた彼女が、初めて感じた性。

横領し貢ぎ続けた女の末路、ささやかながらに男女の幸福を手に入れたとき、警察がやってくる。

男を戦争で失い、一人で生きてきた姉の最後の表情は、妹の犯罪と、自分がなしえなかったなにかに対する嫉妬でぎらつく。

ラスト、アパート大家が歩く姿で幕をおろすところがめちゃくちゃクール。