きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『美男をめぐる十人の女』(1956・新東宝)

職業婦人が暮らす寮に山男がやってくる。髭面から一転、イケメンに変身した高島忠夫を利用しようと女たちは大騒ぎ。あげくに全員が高島に惚れて、協力して彼と社長令嬢との恋路を邪魔することに。令嬢宅の女中・宮城まり子も歌うロマコメ・ミュージカル。寮長のデザイナー・高橋とよを筆頭に衣装が素晴らしい。オープニングもおシャレ!

 

監督:曲谷守平

出演:髙島忠夫/筑紫あけみ/久保菜穗子/宮城まり子/髙橋豊子/ジョージ・ルイカー/髙田稔/江畑絢子/杉山弘太郎/藤木の実/城実穗/小倉繁/沢井三郎/藤村昌子/御木本伸介/若月輝夫/竹原千恵子/田原知佐子/美舟洋子/扇恵子/山田美奈子/北沢典子/橘美千子/万里昌代/毛利啓子/千曲みどり/野々村律子/藤川洋子/芝田良子/桂京子/島はるみ/野崎善彦/宇田勝哉/築地博

シネマヴェーラでこの作品がラインナップに入っていた時、「絶対面白いやつ!」と思い、必ず観なくては! とチラシにマルをつけた。やっぱり想像以上に面白かった。

十人の女……「黒い十人の女」か? 宮城まり子も女中さん役で出ているし!(気に入って仏壇の菓子を無理やり食わすところ最高!) いや、たしかに一人の男をめぐる物語だけれど、こちらはとにかくファニー。

女子寮に、お手伝いさんの甥っ子が丹波の山奥からやってくる。女子寮にいるメンツは猛反対。やってきた男はむさっ苦しいこの上なく、髭ヅラは「女の子が追いかけてくるから」だという。都会の女性たちですから、そんなことになるわけない、とヒゲを剃らせてみると、そこには「うえ〜い」無茶苦茶イケメン登場!

女たちはモデルに起用したり歌手にして一儲けしようとしたりモーションをかけてみたりと、高島忠夫に夢中!

しかし当の高島は、レコード会社の令嬢に恋をしてしまった。

無自覚イケメン高島忠夫は好きな人と結婚できるのか。この恋を妨害しようと女たちは令嬢に、高島がどんなにひどいやつかと訴え(笑)、偽の結婚式の案内状を高島に見せて諦めさせようとしたり、その上高島が結婚式場に乗り込む展開!

元気になる作品である。

にしても高島パパって、マジでスターだったんだな〜。

つい最近菊地成孔の本の、高島一家のファミリーコンサートで演奏した話を読んだ。高島さん、ほんとうに、振る舞いが往年のスターさんであった。下々のもの(失礼!)にも、ジェントル。ちょっと感動したので本の詳細も貼っておきます。