きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『天の夕顔』(1948・新東宝)

山で田中春男を助けた男が(棒読みで)語る自らの人生。高校生から思い続けた高峰三枝子は人妻になるが、夫はパリで浮気中。人妻から送られた「アンナ・カレーニナ」「ボヴァリー夫人」と栞に書かれた恋文。これで口説かない珍妙な男と、絶対に夫と別れない女の不毛なメロドラマ。ラストにビックリ映像が待っている!

シネマヴェーラ渋谷より引用)

 

監督:阿部豊

出演:高峰三枝子/藤川豊彦/田中春男/南省吾/水原久美子

じれったい。

一言でいったらそんな感じである。昔「天の夕顔」って、薄い文庫本売ってたなあ、と思うながら、読んではいなかった。

映画にすると、「なんでまた」で読者を引っ張るタイプになるのかも。小説だったらいいのかな。

にしても「あなたとはもう会えません」と別れたっていうのに結局忘れられず、会いに行ったり再会したり(この旧作邦画によくある「日本って人口100人くらいしかいないの? というくらいの「バッタリ」具合)とずるずると。

女の方はフランスで女を作っている夫と別れられず(子供がいるしね、とかいろいろあるのでしょう)、男のほうは学生から社会人、職場を変えて、山小屋暮らしなどなどけっこう動きがあるんだけど女のことをずっと考えてしまう、という。

ところでこの映画の「もう会わないつもりが結局会っちゃいました」のパターンで、一番うーむ、それはどうかな、と思ったのは、地方で働いていて地元の娘がグイグイきてて結婚させられそうになってる男が、女に相談にいくってってとこで。

そりゃこんだけ意志薄弱だったらなにもむりだわ、ラストで述懐してるみたいにさ、と。まあ唯一成し遂げたのは女を愛し続けました、なんだろうけど、それもなー。行動にでるわけでもないしな〜。

最後の、天にのぼってしまった女(そう、決着がつく寸前に亡くなってしまうのです。ネタバレですが、ネタバレしても大丈夫というか、みんなうすうすそうなるんだろうなと思うのでしょうから、お許しください)にメッセージを送るために◉◉(←いちおう伏せておきます)を、ってのもなんかすごいけど、超唐突。

じれったいな〜って思いながら、なんだかんが飽きずに観てしまった。

最初雪山で発見された自殺志願者はどうなんったんだろう。生きててほしい。