きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『闇に流れる口笛』(1961・日活)

口笛を吹く男のシルエットのカッコいいオープニング、に続いて微妙な和田浩治の歌声が流れる(作詞は西村昭五郎)。ボス・芦田伸介が率いる犯罪組織に復讐を誓う口笛の男と、流れ者の和田の関係とは!? 夜のシーンが冴えるアクション・ノワールの佳作で、楠侑子をはじめ衣装も素晴らしい。

シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)

 

監督:牛原陽一

出演:和田浩治/吉永小百合/葉山良二/金子信雄/波多野憲/小沢昭一/楠侑子/芦田伸介/土方弘/待田京介/鴨田喜由

 

シネマヴェーラ渋谷では「ニッポン・ノワールⅢ」が開催されている(11月24日まで)。

『闇に流れる口笛』はアマプラにもあるんだけど、やっぱ劇場で観たいじゃん、和田浩治、ということで行ってまいりました。

さて、和田浩治は1944年生まれである。ということは当時17歳。だけど、タバコ吸うわ車運転するわ拳銃ぶっぱなすわである。

いや、今更いうのもなんですけどね。

そして貫禄をつけるためか、ちょっとふっくらさせていて、見た感じは、やっぱり青年というには幼い感じ。この頃は台詞回しもまだまだかな、という。いや、役柄が役柄だからか?

しかしアクションは大人たちと対等に渡り合っているのである。すごいなあ。恐るべきことだ。

なのでかっこいい男のセリフ、がちょっとちゃちになってしまう。ユーモアも。

ラスト、タクシーを呼んで空港までいくんだけれど、「あ、金がねえや」なんてとぼけたことを言うんだけれど、やっぱり同じセリフを石原裕次郎小林旭が言ったら、「面白くしつつ、かっこいい」が成立するんだろうな、とちょっと思ったりもする。

話の筋はふらりとやってきた和田が、拳銃密輸をしている芦田伸介のところで働くことになり、芦田の娘、吉永小百合といい感じになったり、それを妬まれたり、いなくなってしまった姉を待つけなげな少年との交流があったりしながら、口笛を吹くトレンチコートの男、これがまた葉山良二なんである、の謎だのが絡んできて面白い。

かつて芦田たちは戦時中罪を犯し、口笛を吹く男が復讐しようとしている? そして和田は実は……、というなんとなく予測はつきつつ(こういうところがいいところ)も物語は進む。

脇のオジさん(和田からすりゃみんなオジさんではありますね)たちは大真面目にコミカルな感じがとてもよい。悪党は悪党らしくって感じ。小僧アクション(和田浩治が主人公の荒唐無稽な作品)の流れ、といってもいいし、もう一歩大人な方向へと進むための過渡期的なものなのかも。

でも17か〜。ガン捌き、うますぎやしないか?