この本に収録されている「贈り物とパーティ」を読んで、むむむ、と唸った。
苦手なことである、と高峰さんは書いている。
しかしそこは高峰秀子、熟考、そして自分らしく贈り物を贈る。
例えば、手作りのものは贈らないほうが無難なのではないか?
「贈り主の手間とヒマがかかっているだけに、気に入らない、といって、そまつにもできず、かえって相手に負担をかけることになりかねない」
なるほど。俳優、そして映画や本は、お客の時間を奪っている物、とも言える。だからこそ、時間を割いてくれている人の負担(ここではつまらない、とか)にさせないように配慮する。手間ヒマのおしつけもまた、違うのだ。
人間にとって一番貴重なのは、時間なのだから。
贈り物の演出法、せん別は現金で、人数をきちんと把握して菓子の量を決める、消耗品をあげるのも一興、などなど。
現代にも通ずる。いや、むしろ現代的な方法が書かれていて、高峰さんが考え方の先をいっているか、がわかる。
相手のことを考える、ことが重要なのだ。ストレスをかけてはだいなしである。