きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『夕やけ雲』(1956・松竹大船)

東京・下町で小さな魚屋を営む一家の長男は、ある夢を抱いていたが――。木下の実妹・楠田の脚本で描かれる苦々しくも美しい青春譚。

神保町シアターホームページより引用)

 

監督:木下恵介

出演:久我美子/田村高廣/望月優子/田中晋二/有田紀子/山田五十鈴

主人公のモノローグ。そして始まるのは彼の幼かった頃の思い出。
魚屋になりたくない気持ち、妹が養子に出される、仲良しの友達、父母のこと、金持ちと結婚しようとしている姉。さまざまな出来事が起こる。
そして大切な気持ち。船乗りのオジさんから貰った双眼鏡で眺める景色と、遠い窓に佇む綺麗な人。
お父さんはこれまでの疲労がたたって倒れてしまい、否応なしに自分は魚屋になることを迫られる。
あるとき友達と、あの女の人の家を探すと、彼女がちょうど結婚して出て行くところにでくわしてしまう。
父は亡くなり、そして、友達は引っ越し、妹は大阪へ。
金持ちじいさんに嫁いだ姉はいつだって嫌な感じで、そして魚屋として主人公の人生は続く。さようなら、いろんなものに。
背中は寂しいようなたくましいような。これからもきっと生きてる。
友達との妙にくっついた友情は、クィア的といえばそうかもしれない(評論を先日立ち読みした)。ぼくとしてはどちらでもいいようにも思える。
美しい映画なのは間違いない。