きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『あこがれ』(1966・東宝)

同じ養護施設出身の若い男女が再会、大きな境遇の違いのなか愛を育んでいく──。東宝青春映画のアイドルスタア内藤洋子、初の主演作。恩地日出夫監督が彼女のもつ新鮮さをいかしみずみずしいムードをつくりあげた。

ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用)

 

監督:恩地日出夫
出演:内藤洋子/新珠三千代/田村亮/小沢昭一/乙羽信子/加東大介/沢村貞子

 

あこがれ

あこがれ

  • 内藤洋子
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どきどきしてしまった。

施設で過ごした二人が再会する。男の子は優しい里親のもとにいて、女の子は捨てた親父のもとにいる。男の子の家族は男の子にいい結婚相手をみつけてやりたいと思っている。でも、結局好きなのは、女の子のことなのだ。

新珠三千代が施設の先生なのだが、彼女自身の経験と、分別から、二人は愛し合うべきではないと諭す。

そんなとき、男の子の実の母が訊ねてくる。ブラジルに移民となるのだという。男の子に会うべきだと。そして女の子に一緒に行ってやれと言う彼女の変化。

脚本は山田太一山田太一らしい家族のやりとりやパンチラインが随所にある。

そうそう、女の子を金蔓にしか思っていなかった親父の優しさが表現されるところなんて、山田太一らしい。

優しい物語なんて、本当はつまらない。欲しいのは、優しさについての物語だ。

この作品は、優しさに溢れている。さみしくてつらいことばかりなのに、おなじくらいに世界は優しさで溢れているのだ。

(追記)女の子の少女時代を演じた子役が素晴らしい。睨みつける顔なんて、最高。