きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『女体』(1969・大映)

まるでカラーチャートのような、浅丘ルリ子のカラフルな着こなしが楽しい。

激しく、美しく、狂おしく。魔性の女ミチの多彩な愛の遍歴と破滅。ルリ子を高く評価していた増村保造が、彼女を想定して、池田一朗とともにオリジナル脚本を執筆。

ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用)

 

監督:増村保造
出演:浅丘ルリ子/岡田英次/伊藤孝雄/川津祐介/梓英子/岸田今日子/小沢栄太郎/北村和夫

朝10時半に阿佐ヶ谷ってのはけっこうきついのだが(なんか毎回言ってる)、増村! ルリ子! そして勝手に「川津祐介の出てる作品にハズレはない」と思っているので『女体(じょたい)』を観に朝から阿佐ヶ谷である。ダッシュしました。

さて、大学学長の娘の旦那、という世にも大変そうな岡田英次が応対したのは、学長の息子にレイプされたとやってきた浅丘ルリ子である。もう冒頭から「なんかやばそう〜」な雰囲気満々。二百万を要求するも、妻(岸田今日子!)はしぶり、百万でいいという。だが岡田は二百万をルリ子に渡す。「やさしい」とルリ子、猛アタック。そしてまんまと岡田英次は転がっていくのであった。

ルリ子の元カレの売れない(というか世にも出てなさそう)な男が川津である。川津のほうも岡田に「(ルリ子と)別れさせたいなら金よこせ」と言い出す。渡してってもしれっと別れるつもりがない、なんならそれをネタに脅すと言わんばかりで岡田と取っ組み合いに、そして川津は頭を打って死んでしまうのであった。

さて、岡田の妹は伊藤孝雄と婚約しているのだが、岡田とルリ子が始めたバーにやってきたとき、しょうもない酔っ払いを撃退。そしたら今度は伊藤に惚れてグイグイ通り越して超〜めんどい粘着をはじめて。

どう考えてもルリ子、現代だったらサイコパスでストーカーでメンヘラである。彼女はひとつのところにとどまるのを嫌い、好きになった相手に愛して欲しいと相手のことを考えない。

最後、の動転し酔っ払ったまま入った風呂場でガスの栓が外れる。

なんともいえない幕切れである。関わった人間はぼろぼろ。

増村保造のヒロインたちの系譜に連なり、そして浅丘ルリ子という女優のポテンシャルが炸裂した、凶悪な作品。