邦画と銭湯

映画を観て風呂に入った記録、ほかにも寺社仏閣巡りとか諸々。

『仮面の宿命〜美しき裸天使〜』(2009・大蔵映画)

フリースクールで絵画の教職をとる木月の目当ては受講生でガードマンの陽一だ。ある日、木月は陽一と友人の透を自宅に呼んでヌードモデルになることを依頼する。フンドシ姿やオナニーシーンを撮りたいという木月を戸惑う陽一に、ガスマスクや戦闘服を見せ、仮面をつけて生きてきた自分の人生を語り聞かせる。木月にフェラされ嫌悪感のない陽一は、セクシュアリティに忠実にありたいと考えるようになり…。

FANZAより引用)

 

監督:山崎邦紀

出演:牧村耕次/小笠原黎/久保田泰也/神夜

 

めちゃめちゃ前評判というか評価が高いこの作品。どんなもんなんだろと思ったが、たしかにすごい。老いと性、そして人生、に真っ向から立ち向かったような作品。『老ナルキソス』(これも名作)のおじいちゃんもだが、とにかく人間の若さを求める心と後悔のエネルギー、すさまじい。

老教授がフリースクールで知り合った警備員の男の子に惚れ込み、褌で自慰をしている姿を撮らせてくれという(なんかその性的なアレ、ガチで昭和だな〜。まあおじちゃんだしなあ)。かつて愛した恋人が夢? いや、現実に妄想として現れてくる状態の老教授。残り少ない命のなかで、なにをしたいか? かつて恋人を取り合った男もまた、その妄想の世界に入り、そして男の子のヌードを撮っているときに、老醜をさらすじいさん! 男の子のものを咥え込み、脅迫、そして自分を殺すように仕向けるのだ!

自分のことを追求しても果てがないとフリースクールで語る爺。ふたたび、警備員と、そして教授を敬愛する少年のビキニ3ショット(いかにも一昔前のゲイって感じです)を撮ろうとしているときに倒れ……。

お見舞いにエロ写真を撮っている若者たち(いい子達である)の前に、爺が、手でカメラのかたちをとり……。

老人映画の傑作かもしれない、たしかに。

昔宝島社の広告で「おじいちゃんにも、セックスを。」ってコピーがあったけど(田村隆一がイケ爺)、我々は、老人になる。

そのとき、どうあるのか、そしてそうなったとき、どんなものを求めるのか、非常に考えさせられる。うん。