きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『夏男たちのラブビーチ』(2010・オーピー映画)

町おこしイベント「ビーチバレー大会」に出場を決めた猛と涼、晃と光男は、ゲイのカップル。素人同然の4人は、練習にも身が入らず、なかなか上達しない。しかも涼が出会い系で知り合った男の元へと去ってしまった。落ち込む猛、欠員でメンバーのテンションもガタ落ち。そこへ猛の姉・里香が、恋人・雄一を連れて帰省してきた。バレーボール経験のあるイケメンの雄一が加わることとなり、皆のヤル気もアップするが…。

(FANZA動画より引用)

 

監督:吉行由実

出演:福谷孝宏/久保田泰也/北川帯寛/六川裕史/白石雅彦/樹カズ/延山未来/高木高一郎/吉行由実

 

タイトルに騙されてはいけないシリーズ、である。そして冒頭にも騙されてはいけない。

ところで最近「当事者として」というコメントをよく耳にする。LGBTQを扱った作品で、「そりゃないだろ」と当事者側から苦言を呈する、というもの。つい最近観た舞台の感想でもそういったものがちらほらSNSにあがっていた。「おねえ言葉使ってるやつなんていまどきいねえよ」だそうだ。

まあ実際少なくなったと思うけど、でもま、ホゲた状態のとき、わりといまだ使ってる人はいるんじゃないかな、と思う。ナヨナヨしてない、というのも、友達と集まったとき、なんかなっちゃうよね、ネタ的にも、みたいなことってあるような。

なので冒頭にある、ちょいとオネエ的なセリフ回しに拒否反応を示すひともいるかもしれない。

けど、それはむちゃむちゃもったいない。

この作品は、青春の輝き、のようなものがある。

それは、主演の福谷さんによるものだ。正直他の演者と格が違うのだ。他の方、申し訳ない。恋人を失い、姉の婚約者に欲望の眼差しをむけてしまう、そんな若い頃の純粋な不純さ、というかモヤモヤとした、しかし清潔な魅力がすごいのだ。

付き合っていた相手と、実家の部屋、暑いなか汗だくで愛し合う姿にぞくりとするし、風呂場で気になる相手を思って自慰を始めてしまう姿や、海辺の場面でも、その若さの輝きにびっくりする。

さて、好きになってしまう姉の婚約者役は樹さん。ポルノ映画に多数出演されているが、以前、ざっくりいうと女性向けエロ本(たしか『KIREI』でしたっけ。AV男優が素人女性と絡む雑誌と言いますか)に出てたような。

ラスト、海辺で愛し合う二人の姿も、一枚の絵として素晴らしい。

 

結局、福谷すげえ、しか言ってないような気がするんだけど、実際そうなんだからしょうがない。

とにかく、おすすめ。