きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『めぐりあい』(1968・東宝)

川崎の工場街に生きる貧しい職工と部品問屋の女店員。それぞれの家庭問題や社会事情をたくみに織りこみながら、若い二人の愛と成長を描いていく。映画初主演、酒井和歌子のきらめき!内藤洋子と人気を二分する青春スタアとなった。

ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用)

監督:恩地日出夫
出演:黒沢年男/酒井和歌子/田村亮/進千賀子/森光子/有島一郎/黒沢博

なに当たり前のこと言ってるんだ、と思われるかもですが、世の中にはたくさんの人がいて、それぞれがそれぞれの夢や希望を持っている。しかし、誰もが歴史に名を残すわけでもない(当たり前ですが僕もです)。

もちろん大人物を主人公とした物語もたくさんあるが、それ以上に、無名の人々の物語はたくさんある。

たとえば自動車工場に勤める男と部品問屋に勤める女。

二人とも、生きて、死ぬ。二人が出会って、いつのまにか愛し合う。誰にも気づかれず、べつに関心を持たれるなんてことはない。

でも、そんなことは関係なく、恋をした瞬間に二人は美しい。

ふたりで海にいく、大勢の人々がいる。彼らも混雑している風景の「部分」でしかない。

彼は父が職を失い、でも弟を大学に行かせてやりたい、と思ったりする。

彼女は母の再婚や死によって動揺する。

ごく普通の人々が、とても眩しい。幸福を願いたくなる。

幸福にならないはずは、きっとない。もしそうでないのなら、なんで街や決まりがあるんだろうか。