きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『波影』(1965・東京映画)

若狭小浜の遊里。ただひたすら他人に尽くし愛を与え続けて死んだ娼妓・若尾文子の半生を、娼家の娘の眼を通して描く。豊田四郎監督が脚本八住利雄、撮影岡崎宏三、美術伊藤熹朔と不動のパートナーを配して水上文学に取り組んだ。

ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用)

監督:豊田四郎
出演:若尾文子/大空真弓/中村賀津雄/乙羽信子/山茶花究/沢村貞子/浪花千栄子

水上勉原作映画のヒロインと言ったら若尾文子である。『雁の寺』も『越前竹人形』も若尾ちゃんだ。

そして大映ではなくともやはり若尾ちゃんなのである。

貧しさゆえに身体を売ることになった若尾。乙羽信子の店で厄介になる。娘の大空真弓は彼女になつき、若尾もまた大空が「学校の先生になる」ことを望む。しかし大空の兄貴、中村賀津雄は怪我をして足を悪くしたことでどうしょうもなくなってしまいにゃ事件を起こし、家が売春宿だということがバレ、大空は教師になることができない。そんな事情を知らずに若尾は大空を責める。

そして、ダメダメ中村を若尾は一途に愛するのだが、病に倒れてしまうのであった。

出生ゆえに普通の人生を歩むことのできなかった人々。

なぜ生きるのか、ではなく、最後まで生き切ることが描かれた作品だった。