きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『やっさもっさ』(1953・松竹大船)

終戦間もない横浜で混血児を預かる児童養護施設の切り盛りを任された野心家のヒロインを、若き淡島が体当たりで演じた。淡島のデビュー作『てんやわんや』の監督・原作コンビで、淡島の個性がさらに際立った辛口社会派コメディ。

神保町シアターホームページより引用)

 

監督:渋谷実

出演:淡島千景/小沢栄/佐田啓二/桂木洋子/倉田マユミ/東山千栄子

 

神保町シアターは1月末から「女優魂 忘れられない『この一本』」と銘打って、人気女優の白熱演技を集めている。今回は淡島千景さん。ちょうど『大番』四部作を観終えたばかりの観賞だったので、獅子文六! 淡島千景! 連続である。混血児たちの児童擁護施設を運営している淡島はかなりやりて、しかし美人。旦那の小沢は戦争が終わってからすっかりふ抜けてしまっている。そして裏ではパンパンの女性たちに、海外の兵隊のためにラブレターを代筆するというアルバイトをしていた。

あるとき、夫が出ていってしまう、なんと、児童養護施設周辺を一台娯楽施設にしようと企む会社に入社してしまったのだ。

ばらばらのピースは、ひとつにまとまることができるのか。

にしても野球したくない野球選手、佐田啓二や女性解放運動家(?)、子供を外国兵にお前の子だと嘘つくことに悩むパンパンなど、一癖も二癖もある人物たちが大騒ぎ。この大風呂敷と人物整理の手腕、さすが。