きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『續向う三軒両隣り 第三話 どんぐり歌合戰』(1950・新東宝)

人力車引きの金語楼のご近所騒動。高級官吏だった江川宇礼雄が失業、娘の美空ひばりは納豆売りをし、義母の飯田蝶子は近所からモノを借りまくるが…。成金(清川虹子)もいれば、戦災孤児や失業者、引揚者も溢れる戦後東京だが、人の心は温かい。三話・四話は続きものだが、一話・二話とは独立している。

シネマヴェーラ渋谷ホームページより引用)

 

監督:齋藤寅次郎

出演:柳家金語楼/飯田蝶子/江川宇礼雄/河津淸三郎/野上千鶴子/美空ひばり/淸川虹子/田崎潤/田中春男/杉山美子/江戸川蘭子/淸川玉枝/浦邊粂子/前田正二

 

ところで、美空ひばりの出ている作品を観るたびに、こりゃ大変なもんだなと思う。あのシルエット、そしてあの歌。大人びた、と言っていいのか、言い方は悪いけど、異形のもの、に見えてしまう。

この作品でのひばりの一家はお父さんは失業しているが見栄っ張り。ひばりは幼いながら納豆売りをこっそりやっている。歌声で人を集めちゃうのである。

中盤にあるみんなに一芸披露の場面でも堂々の歌いっぷり。

さて、メインの話は人力俥夫の金語楼が、新聞売りの少年を気に入って、養子にするエピソード。かわいい息子ができてめろめろである。そんなとき、娘が男に風呂敷包みを預かってほしいと頼まれるのが、それは近所の金持ちの家の盗品だと判明。そして赤い羽根の共同募金の金がないと、少年が疑われてしまう。気分転換にでかけた上野で、風呂敷包みの男を発見するも、どうやら少年の実の兄らしい。

さて、少年は家出、そうそうひばりの親父はサンドイッチマンとして働きだしたんだけど、奥さんにそのことがバレて、ととにかく揉め事が連発したまま、第四話に続くのであった。

ところで、人力俥夫ものといったら『無法松の一生』だったりするわけだが、この作品も、人力車映画と言ってもいいだろう。

人力俥夫って、人情に厚いのである。