きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『俺は田舎のプレスリー』(1978・松竹)

村の秀才が女性になって帰郷し…。吉幾三のヒット曲を基にした愛すべき田園コメディ。晩年のアラカンがマイペースな長老役で愉快に登場。

神保町シアターホームページより引用)

 

監督:満友敬司

出演:勝野洋/鮎川いづみ/カルーセル麻紀/ハナ肇/橋本功/嵐寛寿郎

タイトルからして、吉幾三だし(偏見)と思っていたら!

まさかの大傑作でした。いや、まさかっていうのも申し訳ないのですが。

田舎町のイケメン勝野は自動車免許を12回落ちるくらいに機械音痴。鮎川いづみのことを密かに想っているのだけれど、鮎川はフランスにいる勝野の兄貴に恋している。そして兄貴が帰ってきたと思ったら! まさかの女になって帰ってきた! なカルーセル麻紀

この「兄帰る、ただし性転換して」ってけっこうあるかんじなんですが、そして現代人が見たら「これだから昔の日本は!」なんて目くじらを立てるかもしれませんが、もちろん家族も村の連中も受け入れることができません(だからこそ、学校の先生との交流が心温まる美しいエピソードです)。

兄は去っていきますが、鮎川の心は癒えませんし、勝野の家族も傷を残す結果になります。

そんななか、村にスーパーが建つことで、商店を営んでいた鮎川は母と一緒に東京へ去ることに。

勝野も、そして鮎川を密かに愛していた先生も、失恋してしまう。

しかし、日常はすすむ。オープニングの青年消防隊として馬の消防車をダッシュで引っ張っていた勝野と、終わってしまっても、人生は終わらないと言わんばかりに最後もまた再び馬の消防車とともに火事場へ走る勝野。

青春失恋地方映画! の大傑作です。

芝居大好きアラカン、鮎川の母のことを想っていた勝野の父、ハナ肇などなど、濃いキャラ満載。ちょっとだけ登場の叔母さん役のあき竹城もなかなか。

もし機会があったらぜひ観てもらいたい一本です。

帰り、吉幾三のこの歌、エンドレスで聞いちゃった。

 

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