きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『 昼下りの情事 変身』(1973・日活)

花屋の少年が一途な想いを寄せた清楚系OLは高級コールガールという夜の顔をもっていた──。初期の田中登監督は自己の分身として風間杜夫を好んで起用。その翳りと屈折した表情が若い女性ファンに熱烈に支持された。

ラピュタ阿佐ヶ谷ホームページより引用)

監督:田中登
出演:青山美代子/風間杜夫/絵沢萠子/続圭子/相川圭子/高橋明/槙村正/浜口竜哉/三川裕之/織田俊彦

 

昼はOL、家族のために夜はスナック勤め、というのが彼女の素性のはずだった。

しかし、夜にしていたのはコールガールである。家族との貧乏生活に対する屈折した想い、そして、彼女自身の美貌と性のテクニック。彼女は恋人と平凡な結婚を望みながらも、金を稼ぐために働いている。

彼女の屈折さを表現するいくつか。母が用意したたくあんを、家を出るなりに吐き捨てる。売春のための部屋での美しい衣装にうっとりする姿。それらが複雑な彼女の心情を物語っている。

 

そして、花屋の青年は、彼女にほのかな恋心を抱いている。彼は兄夫婦の家に居候の身だ。兄は性不能で、妻はフラストレーションをぶつけるように、青年を夜な夜な犯している。

 

女は会社の上司にバレて強要されたり、青年もまた兄の仕事(もちろんろくなものでもない)を目撃したり、兄嫁とのことを覗き見していたことが判明したりと、二人は花屋で交差する以外の場所で、追い詰められていく。

そして、青年は、女が男に抱かれているところを目撃、その上、別の男(婚約者だ)と歩いているのを見てしまい、ナイフを手に取る。

冒頭は女の物語から始まり、ラストは青年の冷めた表情で終わる。

こんなに文学的だとは、タイトルからは想像しなかった!

 

にしても風間杜夫、そりゃ人気になりますよ。風間杜夫みたさにロマンポルノ、女性だって観ますよ。