きたはら邦画

午前0時の旧作日本映画案内

『最後の女たち』(1954・日本社会党文化委員会)

1944年、米軍の上陸が始まったサイパン島、住民たちの避難が始まるなか製糖会社社員牧村の妻淳子は日本軍軍曹原島に暴行される。それを知った牧村は原島も淳子も許せず苦悩するが、やがて米軍の侵攻も激しくなり彼らも玉砕へと追い詰められていく。日本社会党文化委員会の企画により製作された本作は住民の視点からサイパン島玉砕を描いているが、そこに登場する日本軍人は徹底して極悪非道の存在として描写される。多数の新劇人が協力したラストの群衆は圧巻。(解説:下村健)

シネマヴェーラホームーページより引用)

 

監督:楠田清

出演:河野秋武/佐野浅夫/下元勉/信欣三/利根はる惠/津村悠子/石黒達也/金子信雄/芦田伸介/織本順吉/三田国夫/福地悟朗/武藤英司/高野二郎/木田三千雄/江崎厳/原泉/忍節子/中沢すみ江/原緋紗子/岡村千鶴子/加藤浩子/城久美子/水原佳代子/町田芳子/原田智子

久しぶりに再会した妻は軍人と関係を持ってしまっていた。よりによってこんなとき(避難)に、妻は去る。もう一度会うことができるのか、というのが物語を引っ張っていく。

ラスト集団自決をする女たちのなか、やっと夫は妻を見つけることができたのだが、引き返そうとする妻を軍人が射殺! もちろん戦争映画、なので観ているものはどうなるのか、わかっている。忠臣蔵の話だったら、そうなるよね、みたいに。

妻が別の男と関係を持ってしまった(といったって、この状況でしかも女性が拒み切ることができますでしょうか)ことの苦悩、が迫ってくるのだが、それと同時に、「なんでまた」と思ってしまう。

つまり制作者側の思う壺、なのかもしれない。なんだか映画を観ているとき、自分はすごく素直になっているような気がする。