邦画と銭湯

映画を観て風呂に入るブログ

貴田庄『原節子 わたしを語る』

 

 

図書館でなんのきなしに借りて読んだんだけれど、めちゃめちゃ面白かった。手元に置いておきたい一冊である。

原節子の発言やインタビューを集め、彼女はいったいどんな人だったのか、を考察している本。

やっぱり原節子っていったら小津安二郎作品に出ていたひと、というイメージなんだが、黒澤も成瀬も出ている。

気に入っている作品に『お嬢さん乾杯!』、そして愛着のある作品に『わが青春に悔なし』『安城家の舞踏会』を挙げている(小津作品についての熱い想いも随所で語っているが、交際疑惑!? に気を遣って発言を控えている)。

読書(トルストイドストエフスキー!)にファッション、舞台挨拶をしたのは一回だけ、など、興味深いトピック多し。

 

著者がこの本の前に高峰秀子を書いていたこともあり、高峰との比較が随所にある。実はそれが面白い。

木下恵介の高峰、小津安二郎の原。

引退後に高峰は多くの著作や講演を精力的にこなしたが、原はしなかった。

歌を歌う高峰、歌は苦手だった原。

戦後を代表する二大女優はお互いの仕事をリスペクトしていた。

 

いやーあんまり知識がないもんで、小林秀雄原節子をくそみそに言っていた、なんてエピソードも面白かったです。